霞ケ関だより
結核予防法と病院
中沢 幸一
1
1厚生省公衆衛生局結核予防課
pp.97
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202335
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結核予防法が現在行なわれているような形に制定されたのは昭和26年のことであり,以来13年の間この法律に基づいて,わが国の結核対策が実施されてきたのである。その間結核事情の変遷,結核治療医学の発達,社会的経済的状況の好転などに従って,その時期に適合するように種々の改正が行なわれ,現在は健康診断,予防接種による結核予防施策,登録,指導による患者管理施策,一般患者に対する医療費公費負担および感染源対策としての命令入所制度とこれに伴う医療費公費負担による結核医療が,一貫して実施されるよう結核対策の大系が樹立されているということができる。
特に昭和38年5月1日には,結核医療の基準が全面的に改正され,医療費の公費負担が行なわれる範囲が,結核性全疾患に拡大されるとともに,化学療法の使用法も大はばに拡大され,結核医療の上に大きな進展が見られたことは周知のとおりである。この点結核医療に対する医療機関の役割は,ますます大きくなりつつある。現在結核予防法に基づく事業を遂行してゆくためには,医療機関が行なう仕事はまことに重要であり,この機会に結核予防法において医療機関が関係している事項を改めてふりかえつてみることは,結核対策の推進のためにも重要であると考えられる。
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