Japanese
English
Bedside Teaching
肺循環障害の画像診断
Diagnostic Imaging in the Pulmonary Circulatory Disorders
永谷 幸裕
1
Yukihiro Nagatani
1
1滋賀医科大学放射線医学
1Department of Radiology, Shiga University of Medical Science
pp.65-71
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100962
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
右心室に始まり左心房で終末を迎える肺循環系は,大動脈循環系と大静脈循環系をつなぎ,血圧は平均圧で大循環系の約1/6という低圧系であり,大循環系と比較し極めて拡張性に富むことが特徴である.低圧系であるがゆえに重力や体位の強い影響を受け,その他様々な要因が加わり,肺血流分布は不均等である.肺循環にはいくつかの生理学的特徴がある.すなわち,他の臓器循環と異なり大循環系に直列に挿入される位置にあるため,大循環系に属する身体各部で形成された血栓や異物などが最終的に流入することになる.そのため,肺循環系にはこれらの蛋白成分を融解するために強力な蛋白分解酵素が作動する仕組みが備わっている.また,気道内異物や気管支腫瘍,あるいは肺炎などにより気道が狭窄あるいは閉塞し末梢領域の肺胞が低換気になると,酸素化に関与しないシャント血流を減少させ,肺胞換気量/肺血流量の低下を是正する目的で同領域の肺動脈血流が減少する.このような特徴を有するため,肺循環系を障害する病態や疾患は様々で多岐にわたるが,肺循環障害は関与する血管の部位により肺静脈性高血圧症・肺動脈性高血圧症・肺血管奇形に大別することができる.
本稿では,それぞれの項目に属する疾患の検査方法,画像所見や診断アルゴリズムを概説し,代表的疾患の特徴的な画像を呈示する.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.