Japanese
English
綜説
閉塞性動脈硬化症に対する和温療法
The Effects of Waon Therapy for Arteriosclerosis Obliterans
新里 拓郎
1
,
鄭 忠和
1
Takuro Shinsato
1
,
Chuwa Tei
1
1鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学
1Department of Cardiovascular, Respiratory and Metabolic Medicine, Graduate School of Medicine, Kagoshima University
pp.59-64
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100961
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はじめに
近年,生活習慣病患者の増加に伴い,合併症である血管疾患も増加し,血管疾患に対する新しい治療法の開発は重要なテーマとなっている.プロスタグランディン製剤などの優れた薬剤の開発,インターベンションデバイスの発達などはその治療に大きく貢献しているが,現在の治療法が十分であるとは言い難い.実際,閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans;ASO)でバイパス手術が不可能な重症虚血肢のために下肢切断を余儀なくされる患者も多い.近年,これらの末梢血管疾患に対する新しい治療法として血管新生療法が注目されている.血管新生療法には,自己骨髄単核球細胞移植や自己末梢血幹細胞移植などの細胞治療と,VEGFやHGF,basic FGFを用いた遺伝子治療があり,国内外において臨床治験・研究が実施されており,一定の効果を挙げている.また,最近では内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)が血管新生において重要な役割を担っていることが明らかとなってきている.
われわれは,すでに和温療法によって心不全モデルハムスターを用いた実験でeNOSの発現が亢進することを確認し,報告した1,2).最近は,和温療法によるeNOS発現亢進に着目して,ASOに対して和温療法を施行し,良好な効果を得ている.
本稿では,われわれが行っているASOに対する和温療法について概説する.
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