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はじめに
呼吸困難感は不快な呼吸感覚である.ATSのステートメントによれば,“dyspnea is a term used to characterize a subjective experience of breathing discomfort that consists of qualitatively distinct sensation that vary in intensity.”と,あくまでも主観的な呼吸不快の経験であると定義されている1).呼吸困難感は,必ずしも呼吸不全患者だからみられる症状ではなく,呼吸不全患者でなくても生じるものであり,またPaO2と呼吸困難感の関係をみてみても,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患(COPD)いずれにおいても呼吸困難度(F-H-J)が進んだとしてもPaO2低下はみられないことから,呼吸困難は決してPaO2だけで決定されるものではないといえる.
Kikuchiら2)のnear fatal asthma(喘息発作で意識消失し人工呼吸管理となった患者)およびnon-near fatal asthma患者での吸気抵抗負荷時の呼吸困難感を検討した報告によると,吸気抵抗を負荷した場合,その負荷抵抗時の呼吸困難感(Borg score)は,いずれも健常人に比べ低下しており,near-fatal群とnon-near-fatal群との間では,near-fatal群のほうがさらに低下していることが示されている.喘息患者が健常人よりも呼吸困難感が低下していることは,喘息に伴う病態に関連した後天的因子が呼吸困難感の生成に関与していることを示している2).このように呼吸困難感には多様な因子が関与していることが明らかとなっている.
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