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特集 呼吸困難からみた呼吸器・循環器疾患
循環器疾患の呼吸困難の機序
Mechanisms of Dyspnea Associated with Cardiovascular Disease
佐藤 直樹
1
Naoki Sato
1
1日本医科大学付属病院集中治療室
1Intensive & Cardiac Care Unit, Nippon Medical School Hospital
pp.37-40
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100956
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はじめに
呼吸困難とは,“呼吸を不快に意識すること”と定義されている.呼吸困難の発生に関与している因子を挙げてみると,図1に示されているように,
1.呼吸労作の感覚を発生させる運動野と知覚野を有する大脳皮質
2.労作の感覚に寄与している脳幹
3.換気に関与する気道,肺,胸壁,横隔膜
4.循環に関与している心臓,頸動脈,大動脈,肺血管
が主なものとして挙げられる.したがって,このいずれかに問題が生じれば呼吸困難を引き起こしうる.しかし,ここで最も問題になるのが知覚野で,個体差が大きく,それにより同じ状況でも,呼吸困難感として自覚されることもあればそうでないこともある.さらに,呼吸困難を引き起こしうる変化が急性か慢性かによっても,呼吸困難感の自覚は大きく異なる.このように,循環器疾患による呼吸困難については,その機序に関して未解決であることが多いが,本稿では可能な限り簡潔化して,心原性肺水腫あるいは肺血管障害による呼吸困難の発症機序を概説することとする.
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