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綜説
Gender Biology―性差を語る分子細胞免疫学
Gender Biology
茆原 順一
1
Junichi Chihara
1
1秋田大学医学部臨床検査医学
1Department of Clinical and Laboratory Medicine, Akita University School of Medicine
pp.1343-1348
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100941
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性差医学の必要性
男性・女性という二つのpopulationは,生物学的に異なる可能性を有しつつ,同一生理を有する「ヒト」として論じられることが,日常診療の場でも,また病態研究においても多くみられる.しかし,日常の臨床でも,女性は骨粗鬆症や高脂血症などの罹患率が高く,実際の日常診療において自己免疫疾患などに性差が存在すること,薬剤の効果・副作用が男女間で違いがあることなどを経験する.
近年,この性差に基づく医学を細胞分子学的な観点から明らかにしようとする試みが注目されてきている.このような背景から,社会的な性差(gender)とは別に,生物学的な性差(sex)を学問として研究し体系づけようとする「性差医学」が注目されている.われわれは,性差を免疫・薬理学的に検討し,新しい学問体系を創生することを目的として「性差分子細胞免疫学研究室」を創生している.性差に基づく医学を細胞・分子・シグナルのレベルから,その差異を明らかにすることで,医療のテーラーメード化へも貢献できると考えている1~4).
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