Japanese
English
特集 心筋再生と心筋保護
サイトカインによる心筋細胞保護
Cardioprotective Effects of Hematopoietic Cytokine
高野 博之
1
Hiroyuki Takano
1
1千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学
1Department of Cardiovascular Science and Medicine, Chiba University Graduate School of Medicine
pp.749-758
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100832
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony-stimulating factor;G-CSF),マクロファージコロニー刺激因子(macrophage colony-stimulating factor;M-CSF),顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte-macrophage colony-stimulating factor;GM-CSF),幹細胞因子(stem cell factor;SCF),エリスロポエチン(erythropoietin;EPO) などのサイトカインは造血因子として知られており,骨髄幹細胞の動員作用を持つことから最近では再生医療の分野でも注目されている.Orlicらは,マウスの急性心筋梗塞モデルを作製後,梗塞領域に骨髄幹細胞(Lin-c-kit+細胞)を移植してその効果を検討した1).9日後にこの細胞は心筋細胞や血管内皮細胞,血管平滑筋細胞に分化,心臓再生医療の可能性を示唆した.一方,マウスの心筋梗塞モデルを用いた研究で,造血幹細胞は心筋細胞には分化しないという結果が他のグループから発表された2~4).骨髄の造血幹細胞に関しては心筋細胞に分化する可能性はcontroversialであるが,間葉系幹細胞は心筋細胞に分化するという報告もある5).上述した造血性サイトカインは骨髄幹細胞だけでなく血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell;EPC)も動員させるので,血管新生作用による虚血性心疾患の治療効果も期待される6).
本稿では心血管疾患に対するG-CSFの作用と機序について概説する.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.