Japanese
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特集 心筋再生と心筋保護
骨格筋芽細胞による心臓再生の現状とその機序
Surgical Regeneration Therapy using Myoblast Sheets for Severe Heart Failure
澤 芳樹
1
Yoshiki Sawa
1
1大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科
1Division of Cardiovascular Surgery, Department of Surgery, Osaka University Graduate School of Medicine
pp.743-747
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100831
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はじめに
内科的治療が困難となった重症心不全に対する心臓移植や補助人工心臓の置換型治療の有効性は明らかであるが,一方これらの治療にはドナー不足や免疫抑制,合併症など解決すべき問題が多く,すべての重症心不全患者に対する普遍的な治療法とは言い難い.このような心臓移植の厳しい現況から,一時期バチスタ手術などの他の外科治療が試みられるようになり,心臓移植の代替治療として大いに注目されるようになった.しかし,これらの手術の限界もしだいに明らかにされるようになり,手術法の改良や適応の確立についての努力が続けられている.
一方,最近は重症心不全治療の解決策として新しい再生型治療法の展開が不可欠と考えられている.心筋細胞はほとんど分裂しないため,不全心筋において障害を受けた心筋細胞は最終的にapoptosisなどによりその数は減少するとされてきたが,最近の分子生物学の進歩とともに新たな知見が得られ,他の臓器のように心筋幹細胞の存在も報告され,循環器領域のトピックスとなっている.一方,その応用として再生治療,特に心筋への細胞移植は心機能を改善することが実験的に報告され,自己骨髄細胞や筋芽細胞による細胞移植の臨床応用も開始されている.
そこで本稿では,心臓血管外科領域における重症心不全に対する再生治療について,われわれの筋芽細胞を用いた再生医療の取り組みを分子生物学的な機序解明も含めて報告する.
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