Japanese
English
特集 心房細動治療の新展開
心機能低下例での心房細動治療の今後
The Current Therapy of Atrial Fibrillation in Patients with Poor Cardiac Function
栗田 隆志
1
Takashi Kurita
1
1国立循環器病センター内科心臓部門
1Cardiology Division of Medicine, National Cardiovascular Center
pp.137-144
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100622
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
心機能低下例における心房細動(AF)の発生は,不必要に速い心拍数と心房収縮(心房心室同期性)の消失により,いっそうの心拍出量の低下を招来する.特に左室の拡張相の流入が障害されている心疾患(僧帽弁狭窄症,拘縮性または肥大型心筋症,高血圧心臓病,心外膜疾患など)では心房収縮消失による血行動態の悪化が生じやすい1).さらにAF時のRR間隔がばらつくこと自体も心機能や心拍出量に悪影響を与えていると考えられている2).一方,I群抗不整脈薬などの投与により洞調律の維持が得られたとしても,その陰性変力作用によってかえって心不全が悪化することもありうる.
また,心房の拡大や過負荷を有する心不全患者においては洞調律の維持が困難なことが多く,しばしば治療の主な目的をレート管理に移行せざるを得ず,心機能に与える影響がさらに危惧される状況となりやすい.このように心不全患者に合併したAFの管理に臨む際には,洞調律の維持(リズムコントロール)をなんとしても試みるべきか,レートコントロールに専念するべきか判断に迷う場面も少なくない.本稿ではAF治療の2つの柱であるこれらの治療法について,特に心機能低下例に対してどのように使い分けるべきかについて論じてみたい.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.