Japanese
English
綜説
心血管系の時間生物学
Chronobiology in Cardiovascular System
前村 浩二
1
Koji Maemura
1
1東京大学大学院医学系研究科循環器内科学
1Department of Cardiovascular Medicine, Graduate School of Medicine, University of Tokyo
pp.1271-1277
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100599
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
われわれの行動や生理機能には一定周期のリズムがみられる.例えば,約1日のリズムである概日リズム(circadian rhythm,circはおおよそ,dianは1日の意),月経にみられるような1カ月単位の概月リズム,季節に応じて変化する1年単位の概年リズム,睡眠のレム,ノンレム睡眠にみられるような90分単位のリズムなどが知られている.このようなリズムは体内に内在している固有のリズムに,環境からの影響が加わって形成される.生物に内在し固有のリズムを生み出している時計を生物時計あるいは体内時計と呼び,通常は概日リズムを刻む時計のことを指す.われわれは身近なところでは,時差ボケやシフトワーク中の体調の不良という形で体内時計の存在を体験させられる.
血圧や心拍数などの心血管機能には明らかな日内変動がみられ,また循環器疾患の発症頻度にも明らかな日内変動がみられるように循環器疾患と体内時計は関連が大きい.本稿では体内時計と心血管系機能の調節,心血管系疾患の発症との関連について紹介したい.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.