Japanese
English
Bedside Teaching
肺胞低換気を呈する疾患の鑑別診断
Differential Diagnosis of Alveolar Hypoventilation
端山 直樹
1
,
近藤 哲理
2
Naoki Hashiyama
1
,
Tetsuri Kondo
2
1東海大学医学部内科学系呼吸器内科
2東海大学附属大磯病院内科
1Department of Respiratory Medicine, Tokai University School of Medicine
2Department of Medical Science, Tokai University Oiso Hospital
pp.1279-1287
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100600
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呼吸生理学では,低酸素血症をシャント,換気血流不均等分布,拡散障害,肺胞低換気の4つのメカニズムで説明する.このうち肺胞低換気とは,肺胞レベルで換気量の減少した状態を指し,動脈血ガス分析ではPaO2の低下に加えてPaCO2の上昇を呈する.わざわざ肺胞レベルと付け加えるのは,口・鼻から出入りするガスの量と肺胞でガス交換に関与するガスの量には差があるためである.1回換気量(VT)の約500mlのうちの約150mlは解剖学的死腔(VD)によって無効換気となるため,換気回数をNとすると肺胞(分時)換気量(VA)は,VA=(VT-VD)×Nと表すことができる.このことから,肺胞低換気は,1回換気量減少,解剖学的死腔増加,換気回数減少によって生じることがわかる.解剖学的死腔が増加する病態は稀なので,肺胞低換気は1回換気量や換気回数の低下が起きる病態,たとえば神経筋疾患のような呼吸の駆動系の障害などによるものが多い.肺胞低換気を呈する主な障害部位を表1に示す.
動脈血中のPaCO2の上昇は肺胞低換気の他に換気血流比不均等によっても生ずるため,患者に高二酸化炭素血症および低酸素血症を認めた場合,それが純粋な肺胞低換気によるものかを判別するためにはAaDO2を求めるとよい.AaDO2は肺胞気酸素分圧(PAO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)の較差を示すため,肺でのガス交換に異常が生じる病態であるシャント,換気血流不均等分布,拡散障害があればAaDO2は開大するが,ガス交換が正常である肺胞低換気のみであれば開大はしない.室内気呼吸でのAaDO2は以下の簡易計算式で得られる.
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