Japanese
English
特集 呼吸器疾患のガイドラインをめぐって
呼吸器感染症のガイドライン
Clinical Guidelines for Pulmonary Infections
比嘉 太
1
,
斎藤 厚
1
Futoshi Higa
1
,
Atsushi Saito
1
1琉球大学大学院医学研究科感染病態制御学講座分子病態感染症学分野(第一内科)
1Department of Control and Prevention of Infectious Diseases, Faculty of Medicine, University of the Ryukyus
pp.1009-1016
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100548
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はじめに
呼吸器感染症は実地臨床でよく遭遇するcommon diseaseの一つであると同時に,致命的な状態に陥る可能性のある疾患群である.肺炎はわが国の死因の第4位を占め,国民全死亡数の8.3%,42,663名に上る(2002年)1).こうした呼吸器感染症の起炎微生物は多様であり,その治療薬としての抗菌薬にも多くの種類があるため,実地臨床では抗菌薬の選択などにおいて,とまどいも少なくない.
これに対して,エビデンスに基づいた医療の標準化をめざして,各種疾患のガイドラインの作成が進められており,呼吸器感染症の診療においてもガイドライン作成が進められている.特に市中肺炎はcommon disease としてのニーズを反映して,1993年にAmerican Thoracic Society(ATS)から市中肺炎診療ガイドライン2)が報告され,世界中に大きなインパクトをもたらした.以来,各国で独自のガイドラインが作成されてきており3),わが国においても,日本呼吸器学会(JRS)から市中肺炎の診療ガイドライン4)が2000年に報告されている(表1).
さらに,JRSでは2002年3月には院内肺炎の診療ガイドライン5),2004年3月には気道感染症の診療ガイドライン6)が報告された.市中肺炎診療ガイドラインについては,今年度に改訂が予定されている.本稿では,こうした呼吸器感染症の診療ガイドラインをめぐる展開について紹介する.
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