Japanese
English
Bedside Teaching
ニューキノロン薬の呼吸器感染症における位置づけ
Evaluation of New Fluoroquinolones in Respiratory Infections
健山 正男
1
,
斎藤 厚
1
Masao Takeyama
1
,
Atsushi Saito
1
1琉球大学医学部第1内科
1Department of Internal Medicine I, Faculty of Medicine, University of the Ryukyus
pp.765-772
発行日 1995年8月15日
Published Date 1995/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901097
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
現在本邦において臨床に用いられている,いわゆるニューキノロン薬と称されている経口抗菌薬は1984年に発売されたnerfloxacin(NFLX)以後,表1に示すように9剤があり,現在経口薬6剤,静注薬も2剤が臨床治験を進行中である.これらのニューキノロン薬は,幅広い抗菌スペクトルと優れた抗菌力,組織移行性を有するために抗菌薬の開発歴史からみれば登場まもないが,以下の3点の理由により,それ以前のオールドキノロン薬と一線を画し,ニューキノロン薬の化学療法剤における位置を飛躍的に向上させた.第1に,呼吸器感染症における適応拡大,第2は,これまで入院の適応であった疾患の一部が外来で治療できるようになり外来での守備範囲を広げたこと,第3はニューキノロン薬はその作用機序より他剤との交叉耐性が成立せず,他剤への耐性菌に対しても抗菌力を示すことが期待される.
図1に諸外国とわが国における抗菌薬別の販売高割合を示した.本邦では,諸外国に比べてニューキノロン薬の使用比重が飛び抜けて高いことがわかる.国内においてもニューキノロン薬が登場した1984年に対する1993年度の売上げ高は5倍強に達し,経口セフェムに迫る伸びを示している.しかしながら,使用頻度の増加に伴い耐性菌の出現,後述する新たな副作用の出現等の問題が指摘されている.本抗菌薬は呼吸器感染症領域においても使用頻度の高い抗菌薬となっているが,このことより本系薬の特徴をふまえた適切な使用をはかるという立場から,本稿では活発な改良研究が行われているニューキノロン薬の呼吸器感染症における位置づけについて考えてみたい.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.