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特集 臨床研究・大規模研究の進め方
情報工学を用いた臨床研究
Promoting Translational and Clinical Researches:Clinical research informatics
小山 博史
1
Hiroshi Oyama
1
1東京大学大学院医学系研究科クリニカルバイオインフォマティクス研究ユニット(CBI)
1Department of Clinical Bioinformatics, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo
pp.301-309
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100519
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はじめに
近年,コンピュータ性能の飛躍的な向上と情報ネットワークの普及,電子的データ保存媒体の大容量・低価格化は研究の方法論そのものを大きく変革させた.臨床研究においても同様で,情報の収集や保存,解析,結果の可視化,論文の作成,出版などコンピュータを用いた情報処理は研究者にとっては今やなくてはならないものになっている.
コンピュータを用いた情報処理に関する学問として情報工学(information engineering)がある.この用語は日本だけで用いられている言葉であり,英語では情報科学(computer and information science)が使われている.コンピュータのハードウエアやソフトウエア,情報処理などの分野に大きな比重が置かれ,客観的な形で存在する情報を対象として,その伝達,記憶,処理,入出力に関する方法を考案し,その装置,システムなどを作成することに重点が置かれる学問である1).そのなかで臨床情報工学とは,臨床医学や臨床研究を支援するためのコンピュータの応用に関する学問であり,Medical Informatics(医療情報学)の一分野となる.
本稿では,臨床研究への情報工学の応用に関する具体像について,まず米国FDAでTranslati-onal Researchに続いて始まったCritical Path Researchの概要とそのなかでの情報工学の応用について紹介し,さらに臨床研究の情報処理基盤整備における標準化の重要性について概説する.
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