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特集 間質性肺炎の病態と治療
病理像から理解する特発性肺線維症の病態
Pathogenesis of Idiopathic Pulmonary Fibrosis Understood from its Morphology
海老名 雅仁
1
Masahito Ebina
1
1東北大学病院遺伝子・呼吸器内科
1Department of Respiratory Oncology & Molecular Medicine, Tohoku University Hospital
pp.1055-1062
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100466
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はじめに
特発性間質性肺炎の診断が長い間混乱していたのは,複雑な病理形態から形作られていった特発性間質性肺炎の疾患概念が不明瞭であったためである.その詳細な病理診断やHRCT画像診断の的確さに関してはまだ多くの論議の余地が残されているが,欧米のガイドラインに即しながらも必ずしも同一ではない日本独自のガイドライン1)が出版されて3年にもなろうとする今では,そのガイドラインの一般化と同時に改訂版の策定に加え,さらなる次のステップがわれわれには求められている.すなわち,病態発生および進展機序の理解に基づいた新しい治療法の確立である.特発性間質性肺炎のなかでも最も治療が困難な疾患である特発性肺線維症は特にこの点における著しい進歩が期待され,かつ求められている.病理形態はもはや単に診断のためだけではなく,その組織形態の変化の細胞分子レベルからの詳細な検討によって理解されなければならない.先に特発性肺線維症の診断のための病理形態の解説があるので,ここではなぜそのような形態変化が起きていくのかという観点から,この複雑な疾患病態を理解するうえでの一助になればと思う.
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