Japanese
English
Current Opinion
日本人の心筋梗塞のエビデンス
Clinical Findings in Japanese Patients with Acute Coronary Syndrome
清水 政彦
1
,
佐藤 洋
1
Masahiko Shimizu
1
,
Hiroshi Sato
1
1大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学
1Department of Cardiovascular Medicine, Osaka University Graduate School of Medicine
pp.1013-1018
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100462
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最近1年間の日本人の心筋梗塞をめぐる全般的な話題
1 各種大規模臨床試験
1. MEGA(Management of Elevated Cholesterol in the Primary Prevention Group of Adult Japanese)1)
HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)の投与が心血管イベントの一次および二次予防に有効であることは,欧米の多数の大規模臨床試験の結果から疑う余地はない.しかしながら,これらの大規模臨床試験におけるスタチンの投与量は,わが国における常用量の2~4倍であり,わが国で日常使用される比較的低用量のスタチンが有する予後改善効果に関する検討は数少ない.また,わが国の冠疾患発生頻度は欧米より低いといった疾病構造の差,さらには人種差を考慮すると,日本人を対象としたスタチンに関するエビデンスが望まれていた.MEGA試験は,冠動脈疾患既往のない軽症~中等症高脂血症の日本人を対象とした試験であり,約8,000人を食事療法単独群と食事療法+プラバスタチン(10~20mg/日)併用群に無作為割付けし,5年間追跡したものである.結果は,プラバスタチン併用群では冠動脈疾患の発生を33%減少させた(p=0.01).この試験は,日本人におけるスタチンの予後改善効果を示したことに加え,低用量スタチンの忍容性,LDL-C低下効果に比べ大きな心血管イベント抑制効果,低リスク症例に対するスタチンの予後改善効果を証明するなど,高く評価すべき試験である.
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