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はじめに
間質性肺炎は肺胞壁を基本的な病変の場とする非肉芽腫性のびまん性炎症性線維化肺疾患である.間質性肺炎は特発性間質性肺炎と二次性すなわち職業・環境因性,膠原病性,薬剤性などの間質性肺炎に分けることができる.「特発性」とは,現時点でその病態がほとんど未解明であることを示している.また,原因が明らかな二次性の病態においても患者側(内因的)因子の存在や,肺がなぜ炎症の標的となるのかといった理由については未知な点が多い.
間質性肺炎の細胞分子病態的な解析が始まって数十年が経過するが,最近は発症にかかわる遺伝子-蛋白系を明らかにするために様々な研究が遂行されつつある.例えば,遺伝子多型の解析によりサイトカイン関連遺伝子群やエイコサノイド関連遺伝子群が間質性肺炎の発症に関与していることが示唆されている.また,家族発症例における解析から,肺胞Ⅱ型上皮細胞で生成されるサーファクタント蛋白質の1つであるsurfactant protein C(SP-C)の関与が注目されている.
一方,サルコイドーシスはJonathon Hutchinsonによって初めて報告されてから既に100年以上の年月が経過しているが,この全身性の肉芽腫性疾患もその原因については不明な点が多い.これまでの病因論的検討において,おおまかには疾患感受性を持つ宿主が何らかの環境因子(抗原)に曝露することによって誘導されるTh1型の過敏性免疫反応に起因するものであると理解されている.では,この宿主側の疾患感受性を規定する遺伝子は何なのか,現在この疑問を解明するため,連鎖解析でのアプローチや候補遺伝子の遺伝子多型の解析が行われている.HLA関連遺伝子やサイトカイン関連遺伝子が宿主側の疾患感受性に関与しているとの報告がある.
本稿では,間質性肺炎・サルコイドーシス各々における遺伝的背景,明らかにされつつある遺伝子多型について概説する.
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