Japanese
English
特集 僧帽弁疾患の新しい治療戦略
僧帽弁閉鎖不全症における心房細動
Atrial Fibrillation in the Patients with Mitral Regurgitation
小林 洋一
1
,
伊藤 啓之
1
,
浅野 拓
1
Youichi Kobayashi
1
,
Hiroyuki Itoh
1
,
Taku Asano
1
1昭和大学医学部第3内科
1Third Department of Internal Medicine, Showa University
pp.723-730
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100420
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はじめに
心房細動は期外収縮に次いでよく認められる不整脈である1).心房細動は年齢とともに増加する.フラミンガム試験では60歳を過ぎると増加し,70歳代の有病率はほぼ5%となる2)(図1).また,心房細動は死亡率を高める重要な因子である.フラミンガム試験によれば,55歳から94歳までの市民で40年間の経過中に心房細動を生じた例では既存の心血管疾患の影響を除いても死亡率を55歳から74歳まででは1.5倍,75歳から94歳まででは1.9倍高めたと報告している3)(図2).また,心房細動は脳卒中の独立した危険因子で,3~5倍リスクを高めるとされている1).一方,心房細動を生じやすくする危険因子は,高齢者,男性,糖尿病,高血圧,心不全,そして弁膜症である4).弁膜症のうちでも僧帽弁閉鎖不全は頻度も高く,年齢とともに増加する.フラミンガム試験によると,mild mitral regurgitationの有病率は26歳から39歳では男性8.9%,女性9.7%であったものが,60歳から69歳で男性24.6%,女性24.3%にまで増加する5)(図3).僧帽弁閉鎖不全症は左房の拡大を来し心房細動の誘因となる.
本稿では,僧帽弁閉鎖不全症と心房細動の関係について述べる.
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