特集 一般医のためのエコー活用法
Ⅲ.心臓
疾患の評価
僧帽弁閉鎖不全症
泉 知里
1
1天理よろづ相談所病院循環器内科
pp.185-190
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103067
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エコーに必要な病態生理と自然歴
僧帽弁閉鎖不全症は,後述する僧帽弁複合体の異常により,僧帽弁が閉鎖する収縮期に左室から左房へ逆流が生じる病態をいう.
僧帽弁閉鎖不全症はその経過から,慢性と急性とに分けられる.慢性僧帽弁閉鎖不全症は,長期にわたり左室,左房に容量負荷がかかり,左室,左房の拡大を認める.左房,左室が拡大することにより,長期にわたって左房圧の上昇や心拍出量の低下をきたさず,無症状で経過する.一方,腱索断裂や感染性心内膜炎の弁穿孔などで生じる急性僧帽弁閉鎖不全症では,左室,左房の拡大はないか,もしくは軽度で,そのため著明な左房圧の上昇がみられ,心拍出量の低下と心内圧上昇による肺水腫,心原性ショックを生じる.
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