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はじめに
MRI検査法の特徴は,X線CT検査法と比較し放射線被曝もない非侵襲的検査法であることである.また,超音波検査法に比べ心・血管の全体像の把握に優れ,任意の撮影断面を設定でき,より自在な撮像が得られる.動的画像であるシネMRI法では,短絡血流や各種弁の狭窄・閉鎖不全が定性的に明瞭に描出でき,心機能やVolume Studyができる1).位相画像法を用いると,各種血管や特定の心臓内部位での通過血流量が測定できる.この位相画像法を応用すれば,肺体血流量比や各種弁逆流の正確な定量評価ができる2,3).欠点としては,ペースメーカー植込み患者や生命維持装置を持ち込んでの検査には困難があり,心房細動などの不整脈があれば画像は劣化することである.また,石灰化の判定は困難である.
1994年Fujitaら4)は,MRI法を用いて僧帽弁閉鎖不全の逆流量を初めて非観血的に報告した.彼らは,MRI法の位相画像法を用いforward flowとして上行大動脈部の通過血流量を測定し,左室1回拍出量として僧帽弁輪部での流入血流量を各々求め,両者間での差を閉鎖不全量と計測した.その後,Hundleyら5),Kizilbashら6)は,各々MRIの位相画像法で上行大動脈の通過血流量を,MRIのシネ撮影で算出した容積分析から左室拍出量を算出し,両者間の差を僧帽弁逆流量と報告した.本邦では,筆者の小児での報告3)以外は加地の1例の経験報告7)のみである.
本稿では,僧帽弁閉鎖不全症の診断および重症度判定などに関し,心臓MRI検査の有用性につき述べる.特に,前尖および後尖僧帽弁逸脱症の各1例を提示し,シネMRI法を用いた診断法とMRI・PC法を用いた僧帽弁逆流量測定の簡便性および有用性につき解説する.
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