Japanese
English
特集 僧帽弁疾患の新しい治療戦略
虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対する外科治療
Surgical Treatment for Ischemic Mitral Valve Regurgitation
手取屋 岳夫
1
Takeo Tedoriya
1
1昭和大学医学部胸部心臓血管外科
1Showa University School of Medicine, Thoracic & Cardiovascular Surgery
pp.707-713
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100418
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はじめに
カテーテルインターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)の発展に伴い,発症早期の冠動脈血行再建がなされ,虚血性心疾患患者の生命予後は著しく改善している.一方で,虚血性心筋症といわれる拡張型心筋症にも似た重症慢性心不全症状を呈する低左心機能症例も増加している.これらの疾患群においては,虚血性心疾患に合併する僧帽弁閉鎖不全が心筋梗塞後の長期予後を左右する重要な要素の一つとされている1).
虚血性僧帽弁閉鎖不全症の外科治療については,他の僧帽弁疾患にもまして,僧帽弁自体ばかりではなく弁輪や弁下組織,乳頭筋や左心室の形態などに及ぶいわゆるmitral valve complexを理解することが重要である.また,特に低左心機能,左室拡張症例では,術後心機能予測からみた手術適応検討が必要で,手術に際しては術前術後のマネージメントも治療成績を左右する重要なポイントと考えられる.
本稿では,虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対する治療について,外科的治療の適応,術前マネージメント,手術方法を,われわれの経験をもとに述べる.
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