Japanese
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Current Opinion
慢性心不全の新展開―筋再生と細胞治療
New Strategy for Chronic Heart Failure
戸金 裕子
1
,
福田 恵一
2
Yuko Togane
1
,
Keiichi Fukuda
2
1東邦大学医学部付属大森病院循環器内科
2慶應義塾大学医学部心臓病先進治療学
1Department of Cardiology, Toho University School of Medicine Ohmori Hospital
2Institute for Advanced Cardiac Therapeutics, Keio University School of Medicine
pp.633-637
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100319
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心筋再生医療,細胞医療をめぐる最近1年間の話題
様々な心臓疾患の終末状態である心不全においてACE阻害剤,ARB,β遮断薬などの有効性が大規模臨床研究で証明されている.しかしながら,薬剤に対する反応性には個人差があり,薬剤併用によっても救命しえない症例が存在する.また,心不全に対する非薬物療法としては両心室ペーシング,手術療法としては左室形成術の有用性も報告されているが,心筋細胞自体の数が減少した状態や細胞そのものの収縮能および拡張能の低下した状態では,その効果にも限界があると考えられる.
心筋細胞は生後まもなく分裂停止し,障害を受けると,肝細胞のように容易に再生しない.失われた心筋細胞の補充のために考えられた手段の一つが心臓移植である.心臓移植は近年手術成績も飛躍的に向上し,移植患者の80%が社会復帰を果たし,救命のみならずQOLの改善をももたらす治療法ではあるが1),周知のごとくドナー不足,急性および慢性拒絶反応,感染の危険性などが知られており,また,移植後の50%生存年数は9.3年(1年以上生存者では11.8年)と永久的な効果は望めず,より多くの患者に対する普遍的な治療として心筋再生医療,細胞移植療法が開発研究されている.
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