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特集 非結核性抗酸菌症の病態と治療
非結核性抗酸菌の分類と細菌学的特徴
Classification and Bacteriological Properties of Nontuberculous Mycobacteria
冨岡 治明
1
Haruaki Tomioka
1
1島根大学医学部微生物・免疫学
1Department of Microbiology and Immunology, Shimane University School of Medicine
pp.565-574
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100309
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はじめに
非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria;NTM)は,「結核菌以外の培養可能な抗酸菌」のことである.現在のところNTMには80菌種以上があるが,この10年間でも新たに30種以上の菌種が登録されている.NTM症はAIDSなどの易感染性宿主に好んで発症し,多くの場合,菌の薬剤感受性が低いため,その治療は困難を極めることが多い.NTMは一部の菌種を除き,概してそのビルレンスが低いため,二次感染型が多く,ヒトからヒトへの感染は起こらないとされている.しかしながら,NTMは結核菌と同様に宿主マクロファージ(MΦ)内での生存力が強く,それが故に感染組織での滞留性も高い.したがって,NTMがどのようなstrategyをもって,宿主の細胞性免疫をベースとする感染防御システムの攻撃からエスケープするのかは,NTM症の病態を考えるうえで極めて興味深い.
本稿ではこのような観点に立ち,NTMの分類と細菌学的特徴,特にその薬剤耐性と病原性について,最近の知見を交えて概説する.
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