Japanese
English
特集 高血圧と心血管病
高インスリン血症・インスリン抵抗性と動脈硬化性疾患の集積
Hyperinsulinemia and/or Insulin Resistance in the Accumulation of Cardiovascular Disease
土橋 和文
1
,
長谷 守
1
,
島本 和明
1
Kazufumi Tsuchihashi
1
,
Mamoru Hase
1
,
Kazuaki Shimamoto
1
1札幌医科大学医学部第二内科
1Department of Internal Medicine(Ⅱ), Sapporo Medical University School of Medicine
pp.461-470
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100295
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
社会・経済・文化的要因としての生活習慣の変化に伴い,高血圧・糖尿病・高脂血症・高尿酸血症・肥満などの生活習慣関連病は増加している.今後,狭心症・心筋梗塞などの冠動脈疾患,閉塞性動脈硬化症,脳硬塞症,大動脈疾患などの動脈硬化性疾患の顕著な増加が危惧される.加えて,高齢化,冠危険因子の集積,ことに肥満・糖尿病の著しい増加・複数の動脈硬化性疾患の合併症例が増加している現況がある.
インスリン抵抗性・高インスリン血症は,高血圧・肥満・糖尿病・脂質代謝異常などの既知の冠危険因子の発現に関連し,加えて血小板凝集・凝固能,血管内皮機能など多くの動脈硬化性疾患の病態の発症と進展に関わることが知られてきた.さらに,疫学的ならびに臨床的検討により冠危険因子の集積とマルチプル・リスクファクター症候群が概念的に確立され,この背景に深く関わることが知られる.
本稿では,インスリン抵抗性とマルチプル・リスクファクター症候群の概念と本邦における生活習慣関連疾患の変遷,測定ないし臨床的評価法,分子生物学的機序,危険因子の関連,動脈硬化性心臓血管疾患への関わりについて概説する.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.