Japanese
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特集 高血圧と心血管病
早朝高血圧と心血管病
Morning Surge in Blood Pressure and Cardiovascular Disease
矢野 裕一朗
1
,
苅尾 七臣
2
,
島田 和幸
2
Yuichirou Yano
1
,
Kazuomi Kario
2
,
Kazuyuki Shimada
2
1県立宮崎病院循環器科
2自治医科大学循環器内科
1Department of Cardiology, Miyazaki Prefectural Miyazaki Hospital
2Department of Cardiology, Jichi Medical School
pp.449-459
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100294
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はじめに
従来の多くの観察的研究から,心筋梗塞・脳卒中・突然死などの心血管イベントは早朝起床時から午前中にかけて多く発生する,いわゆる“サーカディアンリズム”があるといわれている(図1).Cohenら1)は,心筋梗塞66,635例を対象にしたmeta-analysisでは6時から正午までの発症率が他の時間より40%危険性が増加すると報告し,Framingham Heart Study2)のような大規模なデータベースから突然死が午前7時から11時に集中することが分かった.脳卒中に関しても,Elliott3)は31の報告例をmeta-analysisし,午前6時から正午までは50%の脳卒中発症率増加がみられたと報告している.
近年,家庭血圧,24時間血圧計の普及に伴い,また“早朝高血圧”の概念も相まって,これらのイベントの発症と早朝高血圧の関係が注目されるようになった.早朝高血圧に関しては,多くの報告があるが,prospectiveにこれらの群において心血管イベントが多いと証明した試験は少ない.また,心血管イベントのサーカディアンリズムには血圧のみならず他の因子,または早朝高血圧によって引き起こされる因子が関与していると考えられている(図2).これらの機序を理解し臨床に役立てることは,疾患の“予防”において大きな意味を持つと考える.以下に言及する事項が読者の臨床に役立てば幸いである.
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