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はじめに
心房粗細動に対するメイズ手術の低侵襲化という意味は,大きく分けて二つあると思われる.最初にJames Coxによって発表されたメイズ手技は効果的だったものの,その驚くべき複雑さにより,体外循環時間の延長,手術時間の延長と出血量の多さをもたらし,手術侵襲が大きくなった.また,術後ペースメーカ移植術が加わるなど合併症が増加し,なんとかしてそれらの因子を軽減したいという手技的低侵襲化の努力が一つめである.このなかにはCox自身が改良を加えたmodified mazeや,小坂井のKosakai maze,radial approach maze,左房だけのメイズ,などがみられる.この経過中には,メイズ原法にある切離,縫合という方法の代わりに,凍結凝固(cryo-ablation),また電気的に焼灼する方法(radiofrequency ablation,bipolar radiofrequency ablation),microwave(microwave ablation)という新しい方法も導入されてきた.
二つめには,胸骨正中切開をして,体外循環を使用し,心停止を行うというアプローチに対する低侵襲化が挙げられる.胸骨部分切開法,内視鏡を使用するport access endoscopic maze,右開胸切開と,ロボットを用いるrobotic mazeなどが行われている.最近では,体外循環を用いず,心停止をしないport access endoscopic maze,robotic mazeなども行われている.われわれは,胸骨部分切開による心臓弁膜症と成人の先天性心疾患に合併した心房粗細動に対してメイズ手術を行ってきた.日本では心房粗細動単独疾患に対するメイズ手術は少なく,心臓弁膜症治療との同時手術が多いといわれ,この際にどうしたら早く,しかも効果的なメイズ手術が低侵襲で行えるかが問われると考え,これらの経験を踏まえて報告する.
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