特集 心臓血管外科 前編
術式別に学ぶ心臓血管手術:弁膜症と不整脈
5.メイズ手術
石井 庸介
1
Yosuke ISHII
1
1日本医科大学 心臓血管外科
pp.755-764
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200216
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メイズ手術とは心房細動に対する外科手術(心房細動手術)である。心房細動は,不整な脈によって動悸を感じ,心房が細かく震えて収縮するために有効的な心房収縮が得られず,心機能の低下をまねく。さらに,心房内の血流の滞留によって血栓形成をきたし,脳梗塞や,四肢の動脈血栓塞栓症の原因となる。したがって,メイズ手術の目的は,不整な脈の解除,有効な心房収縮を得ることによる心機能の改善,脳梗塞など血栓塞栓症の予防の3つである。メイズ手術による心房細動からの洞調律復帰率は70〜90%程度である1〜3)。本稿では,メイズ手術の適応,手術方法,術後の注意点などについて述べる。
Summary
●メイズ手術は,①肺静脈隔離により肺静脈からの巣状興奮をブロックすること,②切開線・アブレーションラインにより左右心房の自由壁を2〜3cm幅に分割してマクロリエントリーをブロックすることで構成される。
●メイズ手術のよい適応は,僧帽弁疾患に合併した心房細動である。
●カテーテルアブレーションを頻回に行っても再発する心房細動はメイズ手術の適応となる。
●メイズ手術を追加して行うことは,手術リスクにはならない。
●メイズ手術において術後心房細動(POAF)が出現しても不完全な手術というわけではない。
●メイズ手術後にPOAFが出現しても,術後1か月以内に自然に洞調律へ復帰することが多い。
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