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運動時の呼気ガス分析をめぐる最近1年間の話題
2005年に慢性心不全(CHF)の診断・治療に関するACC/AHAのガイドライン1)が改訂された.これに伴いCHF診療における心肺運動負荷試験(CPX)の位置づけも,2001年の版2)と比べて若干の変更があった.以前より「CPXは運動耐容能低下の原因,および心臓移植の適応を評価するために有用とするエビデンスが多い」(Class IIA)とされていた.今回,心臓移植については記載の変更がないものの,運動耐容能低下の原因を精査するには,「呼気ガス分析を行わない最大運動負荷試験でも有用である」という記述に変更された.心臓移植について以前と同様明確にCPXの有用性を謳っているのは,移植に関するガイドライン3)が,「最高酸素摂取量(peakVO2)<14ml/kg/minは移植適応である」と提言していることと関連する.
また今回,CHFの評価を初期評価と継続評価とに分けて勧告し,「CPXによる評価がCHF患者の初期評価において有用である」とわざわざ区別して明記している.一方,以前の版では,「適切な運動処方を実現する上でCPXが有用かどうかエビデンスに乏しい」(Class IIB)と断りを入れていたのが,今回の版では勧告としての明言を避けている.継続評価に関しては,CHF患者の運動耐容能を随時評価し変化を把握すべきであると強調する一方で,広く利用されているNYHA分類が,検者間の互換性や運動耐容能の変化に対して感受性に乏しいと,その限界を指摘している.そのうえで,CPXがCHF患者の能力評価や運動処方に広く利用されていると記述し,またpeak VO2などの指標が予後評価に重要であると認めている.しかし,同時にこれらの指標が臨床的に十分利用されていない現状も指摘している.
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