Japanese
English
特集 機能異常からみた呼吸器疾患
気管支喘息
Functional Disorder in Bronchial Asthma
松永 和人
1
,
一ノ瀬 正和
1
Kazuto Matsunaga
1
,
Masakazu Ichinose
1
1和歌山県立医科大学医学部内科第三講座
1Third Department of Internal Medicine, Wakayama Medical University, School of Medicine
pp.907-914
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100092
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気管支喘息の病態生理学的特徴
気管支喘息の基本病態は,重症度に関係なく気道の慢性炎症である1).喘息の気道においては,好酸球,リンパ球,肥満細胞,好塩基球,好中球などの炎症細胞浸潤が認められる.さらに構造上の変化として,気道上皮の剥離,粘膜および粘膜下組織の浮腫,粘膜下腺過形成,粘液栓,上皮下基底膜肥厚,平滑筋肥大,血管の拡張および増生などを認める(図1).さらに喘息患者の気道ではアレルゲンなどの刺激により炎症細胞,神経からヒスタミン,プロスタグランジンD2,システニィルロイコトリエン,アセチルコリン,神経ペプチド,上皮性および他の成長因子などのメディエーターが放出され,気道平滑筋の収縮や粘液過分泌が起こる.喘息気道において認められるこれらの病理学的および生理学的な異常は,夜間から早朝を中心に寛解と増悪を反復する喘鳴,呼吸困難,咳,胸苦しさという喘息の臨床症状と密接に関連している.
喘息における病態生理と肺機能障害
1. 気流制限
喘息の主な症状である喘鳴や呼吸困難は様々な程度に変化する気流制限に由来する.喘息の気道炎症は主に気道平滑筋収縮,気道壁腫脹,気道分泌亢進,気道リモデリングの4つの機序にて気流制限を引き起こす.
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