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Current Opinion
日本人の高血圧の特徴
Characteristics of Hypertension in Japan
石光 俊彦
1
Toshihiko Ishimitsu
1
1獨協医科大学循環器内科
pp.91-95
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100013
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日本人の高血圧の特徴をめぐる最近1年間の話題
高血圧に対する治療の最終的な目標は,心肥大,腎障害などの臓器障害や脳卒中,冠動脈疾患などの合併症の発生を抑制し,長期的な予後を改善することである.わが国における高血圧の特徴を理解し,それに即した治療を行うには高血圧を主要危険因子とする循環器疾患の発生状況を把握し,その予防を念頭においた対策を考えることが重要である.
図1は,わが国における循環器疾患による死亡率の推移である.従来,主要な死因であった脳卒中による死亡率は減少してきたが,1990年以降はむしろ微増する傾向にある.そして,脳卒中の病型としては脳出血よりも動脈硬化を基盤とする脳梗塞の割合が大きくなっている.また,生活様式の西洋化に伴い,虚血性心疾患による死亡率も増加しつつある.さらに,インターベンション技術の進歩により冠動脈疾患の救命率は向上したものの,その終末状態としての心不全による死亡率も増加している.一方,末期腎不全により透析導入となる患者数も年々増加しており,その原因疾患としては糖尿病性腎症や腎硬化症などが増加傾向を示している.わが国におけるこれらの疾病構造の変化は,平均寿命の延長による高齢化とともに高血圧,糖尿病,高脂血症などの生活習慣病を基盤として起こってきていると思われる.
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