今月の主題 肝疾患Q&A
肝疾患の疫学と機序
日本人のウイルス肝炎にはどのような特徴があるか
矢野 右人
1
1国立長崎中央病院臨床研究部
pp.418-420
発行日 1996年3月10日
Published Date 1996/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904978
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ポイント
●最近ウイルス肝炎はA型,B型,C型,D型,E型,F型,G型に分類されているが,わが国で臨床上問題になるのはA型,B型,C型の3者である.
●A型肝炎は経口感染で,急性肝炎として一過性感染しか存在せず,B型肝炎,C型肝炎は血液由来感染で,一過性感染のほか,キャリアとして持続感染が成立する.
●B型肝炎の持続感染が母子感染でのみ成立するのに反し,C型肝炎は水平感染でも容易にキャリアへ進展する.
●A型肝炎は,わが国では次第に抗体陽性者が高齢化し,感染対象が広がり,高齢化,重症化の傾向にある.
●B型肝炎,C型肝炎は既に予防対策が進み,キャリアは限定されてきた.
●C型対B型の疾病比は7.5対2.5とわが国ではC型肝炎キャリアが断然多数を占め,これらの肝硬変・肝癌への対応が問題である.
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