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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
画像所見
腸
偽膜
pseudomembrane in the intestine
大川 清孝
1,2
,
佐野 弘治
1
1大阪市立十三市民病院消化器内科
2淀川キリスト教病院消化器内科
pp.560
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202763
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偽膜とは,黄白色の扁平あるいは半球状の低い隆起であり,病理学的にはフィブリン,粘膜,好中球,上皮残渣,壊死物質などの炎症性物質が粘膜表面に付着し限局性隆起を来したものである.偽膜性腸炎は,もともとは偽膜形成を特徴とする腸炎に対して付けられた形態的な病名であり,1950年代には,黄色ブドウ球菌の異常増殖によるものと考えられていた.しかし,1979年にその原因のほとんどがC. difficile(Clostridioides difficile)であることが判明した1).偽膜性腸炎には,厳密にはC. difficile以外の原因も存在するが,本邦ではC. difficile感染症(C. difficile infection ; CDI)が原因のものを指す.偽膜性腸炎(偽膜型)はCDIの重症型であり,非偽膜型はCDIの軽症型である.偽膜性腸炎の偽膜の病理組織像は,陰窩間の粘膜表面から炎症性滲出物が噴出しているような所見を示す2)(Fig.1).偽膜直下の粘膜表層部は凝固壊死を示す.その下方に残存する腺管は拡張し,その中に多量の粘液,好中球,脱落上皮細胞を含有するが,病変部の潰瘍化は認めない.
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