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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
画像所見
腸
敷石像,敷石様外観/炎症性ポリポーシス
cobblestone appearance/imflammatory polyposis
平井 郁仁
1
1福岡大学医学部消化器内科学講座
pp.557
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202760
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cobblestone appearance(敷石像,敷石様外観)は,縦走潰瘍とその周辺小潰瘍間の大小不同の密集した粘膜隆起を指し,その名称の由来は石を敷き詰めた西欧の道の表面形状に由来する.現在の敷石は,人工的に加工された長方形の石が用いられるが,従来は古い丸みを帯びた自然の石(玉石)が使用されていた.よって,玉石様外観とも呼ばれる.小腸や大腸のcobblestone appearanceは,Crohn病(Crohn's disease ; CD)に特徴的な形態学的所見である.本邦のCD診断基準では,縦走潰瘍とともに主要所見の一つとして挙げられており,他の疾患が除外できればcobblestone appearanceの存在のみでCDと確定診断することが可能な特異的な所見である1)(Fig.1).縦横に不規則に走行する潰瘍によって囲まれた残存粘膜が,不均一に島状に膨隆し集合することが成因であるため,一般に個々の敷石は不均一で大小不同である.局所の炎症が高度な時期にみられ,治療により軽快ないし消退する.小腸より大腸で頻度が高い所見で,上行結腸や下行結腸で典型像を認めることが多い(Fig.2).fissuring ulcerを伴う高度のcobblestone appearanceは難治化要因であり,内科治療に抵抗して,狭窄や瘻孔を合併することもある.高度もしくは広範囲のcobblestone appearanceを認める症例では,抗TNFα抗体など有効な治療を早期に行う必要がある.
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