Japanese
English
今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—下部消化管腫瘍
主題アトラス
虫垂:杯細胞(型)カルチノイド(杯細胞腺癌)
Goblet cell Carcinoid(Goblet cell Adenocarcinoma)of the Appendix
田邉 寛
1
,
二村 聡
1
,
太田 敦子
2
,
八尾 建史
3
,
岩下 明德
4
Hiroshi Tanabe
1
1福岡大学筑紫病院病理部病理診断科
2福岡大学筑紫病院臨床検査部
3福岡大学筑紫病院内視鏡部
4AII病理画像研究所
キーワード:
虫垂杯細胞カルチノイド
,
杯細胞腺癌臨床病理
,
概念と組織発生
Keyword:
虫垂杯細胞カルチノイド
,
杯細胞腺癌臨床病理
,
概念と組織発生
pp.329-332
発行日 2021年3月25日
Published Date 2021/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202277
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概念・定義
杯細胞カルチノイド(goblet cell carcinoid;GCC)は主に虫垂に発生し,病理組織学的にカルチノイドと腺癌の両方に類似した像を呈する腫瘍である.本邦での発生頻度は虫垂切除例の0.046〜0.17%1)2)と極めてまれである.GCCの生物学的態度,すなわち転移や播種からみた悪性度は通常のカルチノイドと比べ非常に高く3),「大腸癌取扱い規約 第9版」4)では杯細胞型カルチノイドの名称のもと腺癌の1亜型に分類されている.また消化器系腫瘍のWHO分類 第5版5)では,杯細胞腺癌(goblet cell adenocarcinoma)に改称されている.
GCCは,1969年にGagneら6)が,腸クロム親和性細胞に富む胞巣と粘液産生性の腺管構造から成り,発生と発育・進展はカルチノイドと類似するが,神経浸潤が明らかであるという共通した特徴を持つ,3例の珍しい虫垂腫瘍を報告したのを嚆矢とする.その後,1974年にSubbuswamy7)が同様の虫垂腫瘍12例をGCCとして報告した.本邦では,1967年に大和ら8)がcarcinoidとして報告し,1981年に岩下ら9)がGCCの名称で初めて報告した.以後,本邦ではこれまでに100例以上の報告がある.
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