Japanese
English
今月の主題 Barrett食道腺癌の内視鏡診断と治療2021
序説
Barrett食道腺癌に対する欧米と本邦での診断・治療の相違
Introduction
竹内 学
1
Manabu Takeuchi
1
1長岡赤十字病院消化器内科
キーワード:
Barrett食道腺癌
,
SSBE
,
LSBE
,
内視鏡診断
,
内視鏡治療
Keyword:
Barrett食道腺癌
,
SSBE
,
LSBE
,
内視鏡診断
,
内視鏡治療
pp.135-137
発行日 2021年2月25日
Published Date 2021/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202241
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
欧米では,Barrett食道腺癌(Barrett's adenocarcinoma;BAC)は各癌腫において最も増加率が高い.米国では1975年から増加し,20年後には扁平上皮癌を抜き食道癌の主組織型となり,30年間で有病率・死亡率はそれぞれ6〜7倍に急増した.一方,本邦では日本食道学会の全国集計において全食道癌におけるBACと食道腺癌を合わせた割合は2002年に2.4%,2012年には7.4%と約10年間で約3倍に増加しているが1)2),欧米のような増加率を認めていない.
また,背景粘膜に関して,欧米では最大長が3cm以上のLSBE(long segment Barrett's esophagus)の有病率が2〜7%であるが,本邦のそれは0.35%であり,圧倒的にSSBE(short segment Barrett's esophagus)が多い.さらに,Barrett食道の長さによって発癌率は異なり,SSBEでは年率0.19%,LSBEでは年率0.33〜0.56%と報告され3),LSBEはSSBEに比べ発癌率が2〜3倍高い.胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease;GERD)はBarrett食道の要因であり,発癌には人種差,性,年齢,環境因子なども関与しているが,このようなLSBEとSSBEの割合の違いも欧米と本邦の発癌率が異なる根拠であろう.したがって,BACを研究する際には,背景粘膜の違いをもとに内視鏡診断や病理診断を検討することが重要と考える.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.