増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔腸〕
憩室関連(憩室性)大腸炎(diverticular colitis)
清水 誠治
1
1大阪鉄道病院消化器内科
キーワード:
crescentic fold disease
,
SCAD
,
segmental colitis associated with diverticula/diverticulosis
Keyword:
crescentic fold disease
,
SCAD
,
segmental colitis associated with diverticula/diverticulosis
pp.664
発行日 2017年5月24日
Published Date 2017/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201010
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定義
憩室関連(憩室性)大腸炎は憩室を伴う大腸の憩室間粘膜にみられる慢性炎症の総称として用いられる疾患名であり,通常憩室自体の炎症ではない1)2).欧米では多数の報告があり,segmental colitis,crescentic fold disease,diverticular disease-associated(chronic)colitis,diverticular colitis,SCAD(segmental colitis associated with diverticula/diverticulosis),SACD syndromeなど多彩な名称で報告されている.頻度は大腸内視鏡検査症例の1%前後,憩室症例の数%とされている1).本邦における報告例は少ないが,実際はそれほどまれな疾患ではないと考えられる.下痢,血便,腹痛などの症状を契機に診断されることが多いが,本症による症状とは限らない.欧米ではS状結腸の病変がほとんどであるが,右側結腸憩室の頻度が高い本邦では上行結腸にもみられる.
もともと,憩室に伴う炎症性変化と潰瘍性大腸炎(UC)・Crohn病(CD)の合併を区別することを目的につくられた概念である.欧米では直腸粘膜が内視鏡的にも生検組織学的にも正常であることが診断の必須条件とされている.しかし極めて多彩な病態を含むあいまいな疾患概念であり,今後疾患概念の見直しが必要と考えられる.
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