胃と腸 図譜
憩室性大腸炎(diverticular colitis)
清水 誠治
1
1大阪鉄道病院消化器内科
pp.1596-1598
発行日 2012年9月25日
Published Date 2012/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113606
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1 概念,病態
憩室性大腸炎(diverticular colitis)は憩室を伴う腸管の粘膜にみられる慢性炎症全般を指す1).従来,segmental colitis2),crescentic fold disease3),diverticular disease associated colitis4)など様々な名称で報告されている病変を包括した概念であり,潰瘍性大腸炎,Crohn病〔狭義のIBD(inflammatory bowel disease)〕と区別することに本概念の存在意義がある.粘膜の炎症は憩室に近接して起こるとは限らず,憩室炎合併の有無も関係しない.直腸粘膜は内視鏡的にも生検組織学的にも正常である.
発生機序は不明であるが,腸内細菌叢の変化,粘膜透過性亢進,微小循環障害,一酸化炭素(NO)やフリーラジカルの過剰産生などが想定されている1).いわゆるprediverticular stateにも同様の変化を伴うことがあり,憩室自体ではなく腸壁や管腔内の状況が関与している可能性もある.
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