増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔腸〕
腸管壁内ガス像(intramural gas appearance)
萱嶋 善行
1
,
蔵原 晃一
1
1松山赤十字病院胃腸センター
キーワード:
腸管囊胞様気腫症
,
腸管囊腫様気腫
,
腸管気腫症
Keyword:
腸管囊胞様気腫症
,
腸管囊腫様気腫
,
腸管気腫症
pp.645
発行日 2017年5月24日
Published Date 2017/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200992
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定義
腸管壁内ガス像は,小腸あるいは大腸の粘膜下ないし漿膜下にガスが貯留した所見を言う.多くは多発し腸管囊胞様気腫症(あるいは腸管囊腫様気腫など)と呼称される1).腸管囊胞様気腫症は特発性と続発性に分類され,続発性の多くは,各種消化管疾患,慢性呼吸器疾患,膠原病,薬剤(αグルコシダーゼ阻害薬など)などとの関係が推察されている2).本症は特徴的な含気性の多発性囊胞であることから,腹部単純X線や腹部CTでは,腸管壁に沿った大小不同,類円形のブドウ房状・蜂巣状の透亮像を呈する(Fig. 1a).X線造影検査では,腸管壁に一致した表面平滑で軟らかい多発性の粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)様の陰影欠損がみられる(Fig. 1b).内視鏡検査では,大小不同で半球状の軟らかい多発性SMT様隆起として認められる(Fig. 1c).生検を施行するとガスが排出され平坦化する.病理組織学的には気腫内腔を組織球や異物巨細胞が被覆する.漿膜下の気腫が腹腔内に破裂するとfree airとしてみられ,消化管穿孔との鑑別が必要になるが,腹膜刺激症状を伴わない.
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