増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔腸〕
萎縮瘢痕帯(scared area with discoloration)
大川 清孝
1
,
大庭 宏子
1
1大阪市立十三市民病院消化器内科
キーワード:
腸結核
,
潰瘍瘢痕
,
萎縮粘膜
Keyword:
腸結核
,
潰瘍瘢痕
,
萎縮粘膜
pp.636
発行日 2017年5月24日
Published Date 2017/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200983
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定義
1977年に白壁ら1)の「大腸結核のX線診断」という論文により“潰瘍瘢痕を伴う萎縮帯”という用語が初めて記載された.その後一般的な使用には冗長的であったため萎縮瘢痕帯という表現が慣用的に用いられ,現在に至る2).白壁らは手術を施行し総合的に腸結核と診断した47例の肉眼所見,X線造影所見,病理組織学的所見などを検討した.その結果,腸粘膜またはリンパ節に乾酪壊死がみられ結核と確定診断できた症例と,非乾酪性肉芽腫を認めた,あるいは肉芽腫を認めなかった症例において,共通した肉眼所見として萎縮瘢痕帯を見い出した.すなわち,乾酪壊死を認めなくても,萎縮瘢痕帯を認めた場合には腸結核と診断できる可能性が高いと述べた.また,萎縮瘢痕帯を示す結核以外の疾患はほぼないことも根拠とした.萎縮瘢痕帯とは炎症性ポリープの多発,潰瘍瘢痕の多発,萎縮した粘膜などで構成される区域性領域であり,治癒傾向の著明な腸結核病変を意味する3).
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