特集 図説 胃と腸用語集2012
画像所見〔腸〕
萎縮瘢痕帯(scared area with discoloration)
松川 正明
1
1昭和大学附属豊洲病院
pp.714
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113303
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萎縮瘢痕帯という用語は,「胃と腸」誌12巻12号「大腸結核のX線診断」の論文に白壁ら1)により「潰瘍瘢痕を伴う萎縮帯」として初めて記載された.潰瘍瘢痕に伴う萎縮帯は一般的に使用するには長いので“萎縮瘢痕帯”という表現が慣用的に用いられ,現在は一般的に使用されている.
腸結核の診断は切除標本で組織学的に乾酪壊死を病変部またはリンパ節に認めることによる.乾酪壊死を有する病変の肉眼所見と非乾酪壊死のみを有する病変の肉眼所見が非潰瘍部で極めて類似していた.また,肉芽腫を認めない病変でも乾酪壊死を認めた病変とも肉眼所見が類似していた.白壁ら1)はこれらにより,乾酪壊死を認めなくても,萎縮瘢痕帯を認めた場合に腸結核が治癒した病変と診断が可能であると述べた.このような肉眼所見を有する病変は腸結核以外にないことも腸結核の診断を広げた大きな要因となった.
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