増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
解剖・組織
肛門・肛門管の解剖用語(anatomy of anus and anal canal)
藤原 美奈子
1
1九州大学大学院医学研究院形態機能病理
キーワード:
anus
,
anal canal
Keyword:
anus
,
anal canal
pp.541-542
発行日 2017年5月24日
Published Date 2017/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200893
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定義
肛門(anus)は,消化管の終末部であり,糞便の排出口として認識されている.視診の際に確認できる外口(anal orifice)と肛門周囲の皮膚との境界,つまり外口の縁である肛門縁(anal verge)から成るものを一般的に肛門と呼ぶが,その範囲の規定はいまだ不明瞭である.肛門縁より1.5〜2.0cmほど奥に歯状線(rental line)が存在し,これが肛門と直腸の接合部,すなわち発生学的には外胚葉と内胚葉の接合部になる.歯状線は隆起を形成する肛門乳頭(anal papilla)と陥凹を形成する肛門陰窩(anal crypt)から形成される.肛門陰窩には肛門導管(anal duct)が開口しており,肛門腺(anal gland)へと続く1).
肛門管(anal canal)の定義もさまざまで,肛門縁から歯状線までが解剖学的肛門管(anatomical anal canal),肛門縁から恥骨直腸筋付着部上縁までが外科的肛門管(surgical anal canal),内肛門括約筋の上下縁で囲まれる部分を組織学的肛門管(pathological anal canal)と呼ばれている2).内肛門括約筋は,直腸固有筋層の内輪筋に連続した平滑筋であり,肛門縁上部まで伸びていることから,外科的肛門管と組織学的肛門管はほぼ近しい部分を指していると考えることもできる(シェーマ).
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