Japanese
English
今月の主題 原発性小腸癌—見えてきたその全貌
序説
原発性小腸癌—見えてきたその全貌
Introduction
田中 信治
1
Shinji Tanaka
1
1広島大学大学院医系科学研究科内視鏡医学
キーワード:
小腸癌
,
原発性小腸癌
,
小腸悪性腫瘍
,
空腸癌
,
回腸癌
Keyword:
小腸癌
,
原発性小腸癌
,
小腸悪性腫瘍
,
空腸癌
,
回腸癌
pp.763-764
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202908
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小腸原発の上皮性悪性腫瘍は消化管腫瘍の2.2〜3.2%とまれな疾患であり1)2),組織型別頻度ではほとんどの報告で,高〜中分化型腺癌が最多で,粘液癌,印環細胞癌はまれである.高橋ら3)によると,全消化管悪性腫瘍に占める割合は,部位別にみると,空腸癌は0.05%,回腸癌は0.01%で,回腸癌よりも空腸癌の頻度が高いと報告している.1970〜1979年の本邦報告例の集計によると,好発部位は,空腸癌では77.8%がTreitz靱帯から60cm以内,回腸癌では66.7%が回盲弁から40cm以内である4).一方,八尾ら5)の1995〜1999年の本邦報告例の集計によると,小腸悪性腫瘍のうち腺癌の頻度は32.6%である.しかし,本邦には小腸癌に関する正確な統計は現在存在しない.
近年の内視鏡医学の進歩によってカプセル内視鏡(2003年〜)とバルーン内視鏡(1998年〜)が普及し,小腸疾患の診断能は飛躍的に向上し,多くの病態解明が進みつつある.そして,上皮性腫瘍の診断の進め方も確立している6).一方,原発性小腸癌に関しては,希少であることに加え,狭窄症状や転移・播種を契機に進行した状態で診断される例が多く,その発生・発育進展の解明と早期発見への取り組みが急務とされている.
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