Japanese
English
今月の主題 胃底腺型胃癌
序説
胃底腺型胃癌の疾患概念と今後の課題
Introduction
八尾 隆史
1
Takashi Yao
1
1順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学
キーワード:
胃底腺型胃癌
,
pepsinogen I
,
H. pylori
Keyword:
胃底腺型胃癌
,
pepsinogen I
,
H. pylori
pp.1465-1468
発行日 2015年11月25日
Published Date 2015/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200462
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はじめに
胃底腺型胃癌は,2007年にTsukamotoら1)が“gastric adenocarcinoma with chief cell differentiation”として1例報告したのが最初であり,その後筆者が収集した10例をUeyamaら2)が通常型高分化腺癌との比較を含めた臨床病理学的解析を行い,“gastric adenocarcinoma of fundic gland type(chief cell predominant type)”という名称で2010年に新しい疾患概念として提唱した.この論文をThe American Journal of Surgical Pathologyに投稿準備中にさらに発見・収集された新しい症例27例を本誌でも発表したことで3),本邦ではこの疾患概念が広く普及し,各施設で次々と発見されるようになった.
胃底腺型胃癌は,当初は低異型度・低悪性度の腫瘍として報告したが,その後の症例の集積により,多彩な細胞分化を示した高悪性度のもの4)や高異型度のもの5)も発見されてきており,胃底腺型胃癌をもう一度見直し,再分類する必要性が生じてきた.
また,筆者ら6)〜10)はその遺伝子異常の解析も進めており,少しずつではあるが,発生あるいは進展に寄与する因子が判明しているが,未だ十分解明されたとは言い難い.
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