Japanese
English
今月の主題 狭窄を来す大腸疾患─診断のプロセスを含めて
主題
症例7
Case 7
石橋 英樹
1
,
二村 聡
2
,
江口 浩一
3
,
冨岡 禎隆
1
,
渡邉 隆
1
,
青柳 邦彦
1
,
星野 誠一郎
4
,
向坂 彰太郎
1
Hideki Ishibashi
1
1福岡大学医学部消化器内科学講座
2福岡大学医学部病理学講座
3中村正内科循環器科クリニック
4内藤病院
キーワード:
腹部鈍的外傷
,
ショック
,
大腸狭窄
Keyword:
腹部鈍的外傷
,
ショック
,
大腸狭窄
pp.1304-1307
発行日 2015年9月25日
Published Date 2015/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200409
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症例
患 者:50歳代,男性.
主 訴:下腹部痛,下血.
既往歴,生活歴,家族歴:特記事項なし.
職業歴:タクシー運転手.
現病歴:2004年10月下旬,交通事故(運転中,運転手から見て右方向よりトラックに衝突)のため,胸腹部を強く殴打し,近医に救急搬送された.右血気胸に対し加療を受けていたが,呼吸状態が増悪し,当院救命センターに転院した.肺塞栓症と診断し,人工呼吸器管理,抗凝固療法を開始した.転院3日後(受傷後26日目),右大腿部の裂創から膝関節にかけて巨大皮下血腫が出現した.その後,ショック状態となり,急性腎不全を併発した.昇圧剤投与,輸血,持続血液濾過透析療法などの全身管理によりショックから離脱した.12月下旬(受傷後55日目),下腹部痛と下血を認め当科に紹介された.
初診時現症:身長184cm,体重73kg.血圧154/98mmHg,脈拍90/min,体温37.2℃.眼瞼結膜に貧血あり,眼球結膜に黄疸なし.心音・呼吸音は正常,腹部は平坦・軟,腸雑音は軽度亢進,左下腹部に圧痛を認めた.腹膜刺激徴候は認めなかった.
血液検査所見:血算では,小球性低色素性貧血(RBC 269万/μl,Hb 9.2g/dl,Ht 29.2%)を示し,生化学検査ではCRP値が軽度に上昇(1.3g/dl)していた.サイトメガロウイルス(cytomegalovirus ; CMV)感染は,CMV IgG 342mg/dl,IgM 0.51mg/dlと既感染パターンであったが,CMV抗原はC7-HRP法で2/50,000個であった.
便培養:Pseudomonas aeruginosaがごく少量同定された.
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