特集 図説 胃と腸用語集2012
分類・定義
原因不明消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding;OGIB)
藤森 俊二
1
,
坂本 長逸
1
1日本医科大学消化器内科
pp.867
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113434
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本邦における原因不明消化管出血の定義 消化管出血患者の10~20%程度は初回の出血源検索で出血源が同定できない.これらの患者の約半数は出血を繰り返すとされ,入院の反復や多量の輸血を必要とする1).これら出血源が特定できない消化管出血を原因不明消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding;OGIB)と称している.原因不明の消化管出血といっても,どのような検査をどれくらい施行して原因が不明なのかで意味が大きく異なってくる.
そこで本邦では2010年に,上部消化管および下部消化管内視鏡検査で出血源が不明な消化管出血をOGIBと定義した(第5回カプセル内視鏡の臨床応用に関する研究会2010・日本カプセル内視鏡研究会用語委員会).ここでは,上部消化管とは十二指腸Vater乳頭部より口側を指し,また下部消化管とは大腸である.米国消化器病学会では2007年に上下部消化管内視鏡検査,小腸X線検査(小腸造影の他にCTなどによるバーチャル小腸検査を含む)を行っても出血源が不明な消化管出血をOGIBと定義しており,本邦の定義と異なっている2).したがって,文献を読む場合には注意が必要で,常にOGIBをどのように定義しているのかを確認する必要がある.
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