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書評「臨床に活かす病理診断学 消化管・肝胆膵編 第2版」
鶴田 修
1
1久留米大消化器病センター
pp.402
発行日 2012年3月25日
Published Date 2012/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113131
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消化器疾患に携わる臨床医が日常の診断・治療をより確実に行ううえで,画像診断は避けて通ることのできない重要な診断法のひとつである.初心者にとって画像診断は興味深く,最初は画像診断の参考書などを片手に診断を行い,ある程度の診断能力を身につけることはできるが,必ず突き当たるところは画像所見と病理所見の対応であり,病理学的知識のなさが原因で画像所見の理解・評価に難渋してしまうことになる.画像診断には病理学的所見との対応が必要であることがわかり,一念発起して病理の教科書を読み始めても途中で挫折してしまい,画像診断の実力アップが叶わないままの臨床医はかなり多いと思われる.
そこでお薦めの病理教科書が『臨床に活かす病理診断学──消化管・肝胆膵編第2版』である.本書は病理学的知識のあまりない肝・胆・膵,消化管などの消化器病の臨床にこれから携わろうと志す医師を対象としている.まず各臓器の正常組織像や疾患の概念を解説し,次に病変のマクロ写真,病理組織写真・シェーマ像を数多く提示のうえ,わかりやすく解説してあり,初心者でも途中で挫折することなく,比較的容易に画像診断に役立つ病理学的知識を得ることができるよう工夫された内容となっている.実際の臨床の場で本書を片手に画像所見と対応させながら,繰り返し,繰り返し読んでいくと,普通ではなかなか習得の難しい病理学的知識がみるみる身につき,それに並行して病理学的所見を考慮した画像診断を行うようになり,いつの間にか画像診断の実力が向上しているであろう.
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