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編集後記
渡辺 英伸
pp.620
発行日 1987年5月25日
Published Date 1987/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112875
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胆囊癌は本誌の主題として今までに4回取り上げられている.初回は1982年(17巻6号)で,次いで1983年(18巻10号),1986年(21巻5号)そして本号である.初期には早期胆囊癌の定義,肉眼的・組織学的特徴,診断法についての問題提起が主であった.すなわち,この時期では各施設で詳細・精密に分析された自験例が不十分であったために,これらの課題を解明するには時期尚早であった.1986年(21巻5号)になって初めて,早期胆囊癌に関するこれら課題の多くが解決され,診断法も病変の存在(拾い上げ)診断から質的診断へと志向するようになってきた.しかし,逆に新たな問題―早期胆囊癌の70%を占める表面型癌の診断法―も提起されてきた.
胆囊癌の治療成績を向上させるには,前述の早期癌を発見すること,癌の進展度診断を正確に行い,それに応じた適切な根治法を行うこととである.今日でも臨床的に発見される胆囊癌の70~90%は進行癌である.このような背景から,本号では世界に先駆けて“胆囊癌の診断―発育進展を中心に―”を企画した.
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