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編集後記
渡辺 英伸
pp.1342
発行日 1994年11月25日
Published Date 1994/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105980
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“大腸sm癌の深達度細分類”の最大目的はどのようなsm癌が内視鏡的治療の対象となるかを明確にすることにある.粘膜下層の厚さを3等分した癌深達度からみると,sm2・sm3癌とsm1癌とは術前診断が可能であり,両者間でly(+),v(+),n(+)に差があることが,本号で今まで以上に明確にされた.一方,m癌とsm1癌では術前の鑑別診断が困難で,sm1癌の中にもv(+)例が数%存在することも明らかになってきた.
しかし,本号で強調されているような精密な術前診断が日本全国で一様に行われている状況ではない.これに対し,内視鏡的腫瘍摘除は多くの施設で行われるようになっている.このため,内視鏡的摘除例でのsm深達度判定や追加外科手術の必要性の判定が現実には大きな問題となっている.本号で採用されたsm癌の深達度細分類は粘膜下層の厚さ(症例により,同一症例でも局所局所により,厚さが異なる)に対する相対値分類であり,内視鏡的摘除例では使用し難いという難点がある.
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