--------------------
編集後記
渡辺 英伸
pp.984
発行日 1993年8月25日
Published Date 1993/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106247
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本号では,虚血性腸病変に対する各執筆者の強烈な意気込みが感じられる.名称,肉眼型分類,病期分類,原因別の虚血性病変の特徴,経時的変化,障害血管の種類とレベルからみた虚血性腸病変の特徴,などに新知見をみることができる.これは,白壁彦夫先生の序説にもあるような“新しい捉え方”が部分的に生かされたからでもあろう.
BoleyやMarstonのischemic colitisが新しい概念として迎えられた.しかし,その定義,肉眼型分類,運用などに矛盾があることが指摘されて久しい.本号の新知見が次世代を担うものであってほしい.とはいえ,虚血性腸病変はまだ多くの問題点を抱えている.例えば,縦走潰瘍などを含む病変の形態形成機序,原因別の虚血性病変形成機序である.また,Escherichia coli,0157:H7や抗生剤による出血性虚血性病変は通常の虚血性腸病変と肉眼的ばかりでなく,組織学的にも近似する.これらの病変は,原因が異なっても,同一機序(血管攣縮など)で発生している可能性が強い.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.