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書評「消化管の病理と生検組織診断」
長与 健夫
1
1愛知県がんセンター研究所
pp.720
発行日 1980年7月25日
Published Date 1980/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112662
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消化管疾患の診断にとって,生検組織診が必要欠くべからざるものになってから既に相当の年月が経つ.わが国のみならず世界中のどの国においても,この方法が日常の診療に際していかに有用なものであるかを誰でも良く知っているし,この方面の診療に携わる人々はそのことを肌身に感じ取っている.
しかし,物事には常に表と裏の二面性があるように,生検についてもそのプラスの面だけを強調するのは事実を正確に伝えることにはならない.それが有効,適切であるためには,診断を下すのに必要と思われる所から最小限の組織片が採取されなければならないことは勿論であるが,その条件が満たされていたとしても,肝心の生検標本をみる人の目が曇っていたり,やぶにらみであったりすると,かえってX線や内視鏡で正しくみていたものを誤診に導く因にもなりかねないマイナスの面をもっていることも忘れてはなるまい.また,この方法が有効でない消化管疾患も少なくないし,技術的な問題が介在する場合もある.
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